先日、次のような相談をいただきました。
「今は社内の共有サーバー上にExcelの顧客ファイルを置いて、営業担当者が都度更新しているのだがこれをシステム化したい」
少しだけ話を伺うと・・・
・顧客ファイルの中身は住所とか連絡先といった基本情報
・基本情報の更新すら営業担当者はロクに更新しない
・古い顧客情報しか存在しないことに危機感を覚え、相談した
という内容でした。
今日はこの内容をもとに顧客管理をするという点でSFAがどのように役立つかを考えてみます。
SFAにおける顧客管理機能
営業支援システム、セールスフォース、SFAと呼ばれるITツールの99.9%に顧客情報管理機能があります。
顧客情報管理機能とは何なのかをかいつまんで説明すると・・・
・顧客基本情報 ・・・住所、電話番号など
・顧客担当者情報 ・・・部署や役職、メールアドレスなど
・対応内容のログ ・・・過去に自社の営業担当者がどんな商談をしたか
大きくは以上3点を管理する機能のことです。
ではこの顧客情報管理機能がもたらすメリットは何があるのかというと・・・
1:営業担当者以外でも顧客情報を把握できるので商談受注やクレーム対応の対策が全社で考えられる
2:営業担当者変更の際の引継ぎが容易である
3:登録されている顧客情報に対して一斉メールを配信できる
4:顧客毎の営業工数計算ができる(営業リソースの適切な配分が可能となる)
5:顧客をABC(パレート)分析によってランク付けし、ランクに基づいて訪問管理する
こんなところでしょう。
なので、冒頭で書いた相談内容に対しては・・・
SFAを導入して顧客管理すれば
「引継ぎも楽チンだし、ニーズ創出のために一斉メールを配信できるし、無駄な営業活動を減らすことも出来るよ!」
と提案できるわけです。
ただ共有サーバー上の基本情報を更新できない会社がSFAを導入したからといって積極的に顧客情報を更新して活用するとは思えませんが・・・(汗)
顧客管理機能のSFA比較
では、上述の顧客管理機能について、各メーカーのSFAを比較してみましょう。
SalesCloud | eセールスマネージャー | Sales Force Assistant(顧客創造日報) | Sansan | Zoho CRM | Ecrea | NICE営業物語 | |
メーカー名 | セールスフォースドットコム | ソフトブレーン | NIコンサルティング | Sansan | ゾーホージャパン | エクレアラボ | システムズナカシマ |
顧客基本情報の管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
顧客担当者情報の管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
営業対応ログ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
一斉メール配信 | 〇 | × | オプション | 〇 | 〇 | 〇 | ? |
営業工数計算 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ? |
ランク付けによる訪問管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
価格(月額) | 9,000円 | 6,000円 | 4,000円 | 50,000円 (1社) |
1,440円 | 2,000円 | ? |
※2018年1月時点 当サイト調べ(WEB掲載情報をもとに作成)
このように顧客管理機能については大きく差がついていない、というよりも同質化競争しきったという状況です。
しかしこの同質化競争に一石を投じたのがSansanをはじめとした顧客情報の人力登録です。
見込客と交換した名刺をアプリで写真に収めるだけで、メーカーが人力で顧客情報および担当者情報を登録してくれます。
これにより手間がかかる顧客情報の登録を省力化することが出来ます。
となると、人力顧客登録機能がついているSFAがベストじゃん!ってことになりそうですが、決してそうでもありません。
名刺情報を写真に収めて顧客情報を管理するだけでは何の役にも立たないからです。
顧客情報に日々の商談情報を紐づけることでSFAの効果は発揮されます。
SFAで最も大変なのが日々の営業活動の情報を登録することなのです。これはSFAメーカーでも代行してくれません。
また、他のSFAと比較してSansanをはじめとした人力顧客登録機能付きSFAなら顧客登録が容易と書きましたが、今やどのSFAにもCSVなら顧客一斉登録が出来ます。
導入当初はCSVで顧客情報を登録することが一般的です。
その後は、新たに発掘した見込先の名刺情報を登録するので、ここで手間は発生しますが、毎日5~10件も新たな見込先が発掘できるのであれば人力顧客登録で自動化すべきでしょう。
けれどもたいていの企業は多くても営業マン1人あたり月間で5~10枚くらいではないでしょうか。
顧客情報の登録が1件3分だとすれば5件なら15分です。顧客登録を営業マン自身ではなく営業事務員にお願いしてもいいでしょう。
それも出来ないほど業務がパンパンの場合は人力顧客登録が良いと思いますが、そうでない限りはなかなか費用対効果が出ないと私は考えています。
もっと言えば、ルート型営業と呼ばれる問屋・商社のような既存取引先への商談が多い業種の場合は、なおさら人力顧客登録機能は不要でしょう。
顧客情報をする上でオススメのSFAは?(h3)
ではどのSFAが顧客管理をしていく上でオススメなのかと言われると、どれでもOKというのが私の意見です。
顧客管理だけを切り取ってみれば上で挙げたSFA比較表にある通り、どれも似たり寄ったりでしょう。
顧客管理を使いこなした後にどのような営業管理、営業分析を行うかによって推奨できるSFAが異なってきます。
将来のことまで頭が回らないという場合にはとりあえず安いSFAでOKかと思います。
また、そもそもSFAである必要があるかというと必ずしもSFAを導入して顧客管理をする必要はないとも私は考えます。
これまで顧客情報を社内で共有する文化がなかった会社ならば、まずはExcelやスプレッドシートで顧客台帳を作成しましょう。
そしてそれを社内で共有する、これが第一歩です。
で、顧客台帳の作成・共有が当たり前になったらSFAを導入しましょう。データベースの方が分析できたり、端末問わずUIが良かったり、顧客情報の二次利用ができたり、メリットが多いことは間違いありません。