セールスフォース(SFA)は導入前の準備が何よりも重要
セールスフォース・営業支援システム(以下、SFA)をせっかく導入しても運用が定着しなかったり、入力された情報を分析し営業活動の改善に活かすことができなかったという理由で「SFAを導入したが失敗に終わった」という企業は少なくありません。
というより筆者の感覚で言うとSFA導入企業の30~40%くらいが導入したSFAを解約しているという事実があります。
※現に筆者が以前勤めていたSFAメーカーでは、ある年、解約企業数が導入企業数の約80%ということがあり、累計のユーザー数では全然増えてないじゃん!!!ということがありました。
では何故、SFAの導入が失敗に終わる最も多いケースは・・・
図の通り、目的や目標設定なく、SFAっちゅーもんを導入したらなんか営業がうまくいきそうだ、という甘ーーーーい考えの企業では解約することが多々ありました。
私がSFAメーカーに勤めていた頃、SFA導入を検討している企業から
「御社のシステムは●●という機能が他社のSFAと比較して足りないよね」
と上から目線で指摘される度に・・・
『いやいや、機能の比較するレベルじゃないでしょ!良い機能が1つあるから営業部門が強くなるなんて、そんな楽なことはないって!!!それよりも何のためにSFAを導入するのかをもっと煮詰めなさい!!!!』
とコンサルぶって指導心の中で呟いていました^^;
今回はSFAを導入して営業力を強化するということを実現するために、裏を返せばSFAの導入が失敗に終わらないためにはどうすればいいのかを解説してまいります。
何のためにSFAを入れるのか、目的と目標を定めよ
SFAや営業支援システム、CRMはたとえるのであれば
「筋トレのトレーナー、ジム、器具」
です。
皆さんがスポーツのプロ選手で、もし一流のアスリートになりたいという目的であれば超有名なトレーナーや高性能な器具がそろったジムを選びますよね?
ではダイエット目的だったらどうでしょう?
わざわざ超有名なトレーナーと個人契約を結びますか?結びませんよね。
そうです。
このように皆さんご自身の営業部門の現状と目指すべき姿=目的によってそもそもどのようなSFAを比較するべきか、そして選ぶべきかが変わってきます。
営業マンのレベルも高く、営業企画部や経営企画室などが設置されていて、データ分析することが会社の文化として根付いているという企業であればセールスフォース(SalesCloud)や顧客創造日報、eセールスマネージャーといった高機能なSFAの方がいいかもしれません。
しかしまだスタートアップの会社であったり、歴史はあるが営業マン数名で初めてのITツールの導入という企業であれば安いSFAで十分かもしれません。
このようにまずやるべきは自己分析です。
そしてその中でどのような営業組織にしたいか、どんな営業マンになってほしいか、営業マネージャーのあるべき姿は?などなど未来を描いてください。
この未来を描く時には6ヵ月、1年、3年という割と短いスパンと、20年先などのだいぶ先の未来を2つ描いておくことをオススメします。
短いスパンの未来を描くことで「目標」が明確になり、長期的な姿を描くことで「目的」がハッキリします。
SFA導入にあたっての目標、目的設定の例
たとえば例をあげるとするとこんな感じです。
目的
営業マンに依存することなく、見込客・取引先ともに誰でも水準以上の顧客対応ができるようにすること=顧客満足度の最大化
目標
1ヵ月後:顧客との商談をSFAに必ず入力すること
3ヵ月後:顧客との商談に対して上司・ベテラン営業マンがアドバイスをすること
1年後:商談情報をもとに過去の取引先や提案先から受注を●件獲得すること
3年後:「◆◆社の営業マンは優秀だ」という口コミが生まれて、紹介から新規取引先を毎月●件獲得できること
上記は極端な例ではありますが、このような目的・目標をSFA導入にあたって設定しておくべきです。
上にあげた目標部分はSFAの機能でいずれも数値として集計することが可能です。
この集計できることがSFAの運用定着、つまり導入成功にあたって肝になります。
導入当初に設定した目標がクリアになることで、営業組織や営業マンの成長を数値が手に入ることで感じることが出来るということは成長を実感できるということです。
成長が実感できれば、もっと高みを目指そう、頑張ろう!という意欲が出てきます。そしてまた新たな目標が設定され、新たな目標が実現されたかどうかを数値を元に検証するのです。
この目標設定-検証のスパイラルを確立することがSFA成功の鍵と言えるでしょう。
SFAはあくまで手段です。
皆さんがどのような目的・目標をもっているのかが明確にならないと、どのSFAを導入すべきか比較したり評価することが出来ません。
SFAの比較や機能評価を進める前に、まずは自社の現状と営業部門の目指すべき姿を明確にしてみては如何でしょうか!?